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  • 2014.03.25 Tuesday
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映画評・「恋する惑星」〜色あせないスタイリッシュさと微笑ましい希望〜

評価:
ウォン・カーウァイ,クリストファー・ドイル,ジェフ・ラウ
ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
¥ 12,800
(2006-06-23)

映像がスタイリッシュな映画は、往々にして月日がたつと色あせる。


1994年の香港映画、『恋する惑星』(原題:重慶森林,Chungking Express)を
久々に観る機会があった。
ウォン・カーウァイ監督作品。
はじめて観たのは大学時代だった。
その時はもう心をわしづかみにされたものだった。
いちいちカッコいい挿入曲。
斬新で目を奪うカメラワーク。
多分、90年代後半の自称/他称オサレさんにとっては
エポックメイキングな作品のはずだ。
非・オサレさんに無理やり鑑賞させれば、
「気取ってやがる!」
「フェイ・ウオン?ただのストーカーじゃねーか!(後述)」
「ウォン・カーウァイ?発音しにくいんじゃ!!」
などと、あらぬ批判を受けたものだ。
そんな学友の評価にもめげず、一人でその素晴らしさを
頑固に主張していたのも、昔の話だ。
ウォン・カーウァイの名前は久しく聞かなくなり、僕も少し歳を取った。
今さら、『恋する惑星』を観なおすなんて、
ノスタルジー以外の何者でもないかもしれない。
正直、記憶の追体験以外のことを期待せずに、淡々と観よう。
そんなことを観る前に勝手に決めていた。


<ストーリー>
 失恋した刑事223号(金城武)は、
 逃亡中のドラッグ・ディーラーの女(ブリジット・リン)と出会う。
 恋人とすれ違いが続く刑事633号(トニー・レオン)は、
 ハンバーガーショップ〈ミッドナイト・エクスプレス〉の
 店員フェイ(フェイ・ウォン)と出会う。
 ハンバーガーショップとその二組の男女を軸に、
 闇と光の香港をスタイリッシュに描く。


OP


冒頭の青を基調とした香港の喧騒。

clock1


刑事223号(金城武)は雑踏の中で、容疑者を追う。
 
 
 雑踏ですれ違う
 見知らぬ人々の中に−
 将来の恋人がいるかもしれない。
 僕は刑事のモウ
 認識番号は223
 

clock2

 その時
 彼女との距離は0.1ミリ
 57時間後
 僕は彼女に恋をした
 
 
映画冒頭からわずかに2分のセリフ。たった2分。
学生時代の頃のように、僕はストーリーに釘付けになった。


ブリジット・リン


刑事のモウとすれ違ったのは、ドラッグ・ディーラーの女(ブリジット・リン)。
香港の闇を泳ぐタフで寂しい女性。
危険な仕事を一人でこなし、また闇に沈む。
彼女がよく顔をバーでかかるレゲエ・「Dennis Brown」”Things In Life”が、
妙に都会のうつろいやすさにマッチして、耳に馴染む。


「Dennis Brown」”Things In Life”




一方、刑事223号(金城武)はいきつけの
ハンバーガーショップ『ミッドナイト・エクスプレス』で、
付き合いっていた彼女と連絡が取れず、
途方にくれ、その甘い容貌をすねさせていた。


看板


金城の失恋


金城拗ね顔


刑事のモウは、未練を捨て切れずに伝言サービスに電話する。



 伝言は?
 パスワードを
 ”一万年愛す” 電話は?
 ありません






一人の部屋で愛犬を相手に、刑事223号(金城武)は愚痴る。
 
 
 犬は最良の友なのに―
 なぜ僕の悲しみが分からないのか
 
 
その間にも、ドラッグ・ディーラーの女(ブリジット・リン)は発砲し、
大勢の男に追われ、明日をも知れぬ危険な日々を過ごしていた。

刑事223号(金城武)は街のバーで悲しみを忘れるため
一人で飲み過ぎる。


金城飲みすぎ
 
 
 僕は自分に言いきかせた
 今度入ってきた女性を好きになろう。

 
 
そして次に入ってきた客とは、ドラッグ・ディーラーの女(ブリジット・リン)だった。


ブリジッド登場


二人で


口説く刑事223号。意に介さないクールな女、
ドラッグ・ディーラーの女(ブリジット・リン)。
ぎこちなく、微笑ましい口説き文句。
都会の偶然。一瞬交差する男と女。
酔いつぶれたブリジッドをホテルに連れ込むが、何もしない金城。
ただ靴を脱がせ、ネクタイで拭き、去っていった。

まだ空が青い早朝。
ブリジッドをホテルにに置いて、涙になるような「余計な水分」を
ランニングで汗にしようと走る。
別れた彼女との残された唯一の接点である、ポケットベルを
金網にひっかけて帰ろうとする金城。


ポケットベル


突然、ポケットベルが鳴る。踵を会して走り寄る金城。

 伝言は?
 パスワードを
 ”一万年愛す” 電話は?
 702号室の女性が"おめでとう"と
 
 
 1994年の誕生日に−
 あの女が"おめでとう"と
 彼女は忘れ得ぬ人となった
 この"記憶の缶詰"に
 期限がないといい
 あっても一万年くらいならいいが・・
 
 
「缶詰」に関する切なくてチャーミングなエピソーグは
是非本編を。

そしてその後、ブリジット・リンは
「Dennis Brown」の”Things In Life”が流れるバーで、
男を射殺する。裏切ったのか。裏切られたのか。


ブリジッド発砲


そして、映画はもう一組の男女の軸に基点を移す。
刑事223号(金城武)はいきつけのハンバーガーショップ
『ミッドナイト・エクスプレス』で
新入りの女の子、フェイと出会う。


 その時2人の距離は0.1ミリ
 6時間後−
 彼女は別の男に恋をした



刑事633号とフェイ



そしてここで挿入される曲。名曲だ。

The Mamas & The Papas: California Dreamin'




ハンバーガーショップ『ミッドナイト・エクスプレス』を、
行きつけにする刑事633号(トニー・レオン)は
あまりにフェイが、店のラジカセで大音量でこの曲をかけるので
思わずフェイに尋ねる。


 うるさい音楽が好きなの?

 この方がいいの
 色々考えなくて済むでしょ?



顔を見合わせて


刑事633号(トニー・レオン)は、スチュワーデスと付き合っている。
しかし最近、その仲は微妙に。
 
 
 彼女とずっと−
 飛んでいられると思ったが−
 飛行機は進路を換えた



水槽と飛行機


すでに、刑事633号(トニー・レオン)に好意を抱いていたフェイは、
店主と彼の会話に耳をそばだて、一喜一憂する。
断っておくが、この映画でのフェイウォンの可憐さは特別な空気が
出ている。
そしてフェイは、彼の付き合っていたスチュアーデスからの別離の手紙を
刑事633号(トニー・レオン)に渡しそびれる。
流れる時間。
この描写が、二人の微妙な心理だとか
都会の孤独さを引き立てて好きだ。


1


2


3


4


そしてフェイは、その恋心を抑えきれずに、刑事633号(トニー・レオン)の私室に
たびたび不法侵入。傷心の男の心をなんとか慰めようと
色々ないたずらや勝手な模様替えを仕掛ける。
(*注:「単なるストーカーだが、フェイ・ウォンなら許すっ」と言う意見が大勢を占めていた。)
そしてこの挿入歌。ヤラレてしまう。


恋する惑星 Faye Wong フェイ・ウォン 夢中人




しかし、そんなこと、いつまでも続くはずも無い。
帰宅した刑事633号(トニー・レオン)は、
フェイ・ウォンと自宅でばったり出くわす。
驚いたショックで足がつったと言い張るフェイ・ウォンは、
刑事633号(トニー・レオン)の部屋で、足のマッサージをしてもらう。
(*注:「フェイ・ウォンなら許すっ」と言う意見が大勢ry)
そして二人はいつの間にかまどろむ。
とても安息し切った表情で。

フェイと二人で


そして、ついに刑事633号(トニー・レオン)はフェイとバー『カリフォルニア』で
デートする約束を取り付けた。
彼が去った店内で大はしゃぎするフェイ。
雨。しかし、バー『カリフォルニア』に彼女は来なかった。
ハンバーガーショップ『ミッドナイト・エクスプレス』の店主が、
彼女の言付けを持って、彼を訪れる。
その手紙をなかなか読めない刑事633号(トニー・レオン)。
一度、雨のゴミ箱に捨てるが、結局拾う。
必死で乾かして読もうとする。


 搭乗券のようだった
 日付は一年後
 行き先は読めなかった
 
 
 お店に行ったわ
 7時15分に着いたの
 あの晩は大雨
 窓の外に雨のカリフォルニアが
 本当のカリフォルニアに
 行きたくなって
 そして一年が経った
 今夜も同じ大雨
 でも心の中には彼のことだけが
 手紙を読んだかな



再会


そして一年後。
The Mamas & The Papasの 「California Dreamin'」が一年のときを経て流れ出す。
二人の突然の再会。
元・ハンバーガーショップ『ミッドナイト・エクスプレス』で、偶然フェイと再会した
元・刑事633号(トニー・レオン)は呆然とする。
そしてフェイに聞く。

 
 カリフォルニアは楽しかった?
 そうね
 特に楽しくなかったわ
(中略)
 聞きたいことがある
 こんな"搭乗券"で乗れるか?



ticket


 日付は今日
 行き先が読めない
 知ってるかい?
 さあね
 新しいのあげるわ
 どこ行きたい?
 君の行きたい所へ




都会に住む孤独だとか、
出会いの奇跡を信じている夢見がちな気持ちとかが
ハッピーエンドの存在を何処かで疑わない希望だとかが、
本当にキュートに微笑ましく描かれている。
俳優が着ている洋服だとか、質感だとか、色あせる要素は映画では多い。
特に昔、「スタイリッシュ」とされた映画ならなおさらだ。
この映画だって例外ではないかもしれない。
しかし、やはりこの映画はカメラワークも美しく、音楽の使い方も素敵だった。
そしてなによりも胸が温かくなる。
その大事なところだけは、2010年でも
きちんと残っている。
個人的に惹かれたのは、失恋した後の男の独り言だ。
傷心の心を再確認するように、一人、部屋の中で、いちいち
ユーモラスで少し悲しいことを独白する。
胸に刺さる描写だった。




*余談だが、白のランニングシャツとブリーフでも
 トニー・レオンは精悍なイケメン。
 ●叉軍司じゃないんだから。



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