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  • 2014.03.25 Tuesday
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書評・「文系・大卒・30歳以上」がクビになる―大失業時代を生き抜く発想法 〜更なる暗鬱な時代の到来へ〜

あまりに自分に突き刺さるタイトルに愕然。


当サイト作者は、「文系・大卒・30歳以上」の項目に全て該当。しかも国文専攻。
そういえば氷河期真っ只中の就職活動で、
「大学で学んだことを御社でどう生かすか?」的な、
エントリーシートに頭を抱えていた覚えがある。
それにしても最近の新書のタイトルは、
どうしてこうも強迫観念に露骨に訴えるものばかりなのか。
少しうんざりしつつも買ってしまい、最寄の駅にあるカフェで通読する。

「文系・大卒」と言えば、(少なくても)古き良きバブル時代においては、
企業において管理職などに代表される幹部要員として処遇されていたと思う。
「ジェネラリストからスペシャリストに」などと声高に叫ばれ始めたのは
バブルがはじけて以降だろう。
しかし、「文系・大卒」のいったいどれだけが
「スペシャリスト」になり得たのだろうか。
一方では、マネジメント能力を必須とされ、
結局は、「ネクタイ締めてりゃホワイトカラー」という曖昧な
帰属意識のまま、ただただ過酷な業務をこなすのに精一杯だったように思う。


<目次>
1. これからのリストラ対象はホワイトカラーである
2. 「自分だけは大丈夫」という根拠のない思い込み
3. 「がん細胞」となったホワイトカラー
4. 人事部長M氏の見た光景
5. 真っ先に切られるのはどういうタイプか
6. 大量失業時代にどう対応するか
7. ホワイトカラーの大失業時代を乗り越えて


本書では「ホワイトカラー」を、総務省の「労働力調査」における
職業分類のうち、

 \賁臈・技術力職業従事者
 管理的職業従事者
 事務従事者

の3職種として定義している。
具体的には本社部門や間接部門(企画・総務・人事・経理・監査)や
管理職、情報システム、教育、金融、人材派遣、コンサルティング、企画 etc・・・・。
要するにモノを作る/売る以外の事務仕事は、ほぼ全部ということだ。
そう言えば上掲した職種は、ここ近年において
アウトソーシングの対象であり主体だ。
必要ではあるけれど、リソースは裂きたくない。
露骨な本音がむき出しになるフィールドであることは間違いない。
本著は言う。

これからのリストラ対象はホワイトカラーだ。
好転しない景気と新興国の追い上げで、
企業の業績は依然として予断を許されない状況であり、
また日本は、欧米市場が回復に向かおうと向かうまいと、
人口の自然減による不況という史上初の事態に直面している。
人口の減少下では、新たな需要が生み出されることも
困難になるためこの不況を抜け出すのは困難だ。
企業がこの不況に耐えるためには、
売り上げやコスト削減に仕事しか残す余裕がない。
その環境下において過去10年、ホワイトカラーは増加しており、
しかもその賃金は他の職種と比べて高い。
一方、製造や販売現場での生産性向上の段階はもう終わった。
手をつける余地はもう、生産性の低いホワイトカラーしか残されていない。
ホワイトカラーのリストラは必ずやいつか実行される。
その対象は、一般的に実務を担当している30歳未満の従業員と、
「理系」の多い技術的職業従事者を除いた、「文系・大卒・30歳以上」だ。
そのリストラののちも、茨の道だ。
リストラされた者の失業期間は長くなり、
リストラされた者の業務は必要ないものとされ
その業務に関わっていた者に対して更なる連鎖が発生する。
また、日本特有の不況において、脱出するための牽引役が
いまだ見えないゆえ、リストラはさらに継続的に続けられ、厳しくなる。

本著の主張の論拠はおおよそこうだ。
その明快な論理に、憂鬱に納得した。
そして著者は、「生産性の低いホワイトカラー」に対して
辛辣な見解を下す。筆致が簡素で冷静ゆえに、
より一層その容赦の無さが際立つ。


 ところが、ここ数年、ホワイトカラーは
 自らの存在を安定化させるために、
 自分達を会社において必要な人材であると決めつけて、
 それをアピールするために、新しい仕事を次々と作り出してきた。
 
  絵に描いた餅に過ぎない中期計画の策定
  度重なる人事制度の改定
  行き過ぎた個人情報保護やコンプライアンスの管理
  現場の意見を無視した情報システムの導入....
 
 これらは、「経営企画部のための中期計画」「人事部のための制度改革」
 「監査部のためのコンプライアンス」「システム部のためのシステム導入」
 にすぎなかったのではないか。企業全体のための仕事ではなく。
 自らの所属する部署存続のための仕事だったのではないか。
 少なくとも、現在の日本企業の状況を見ると、これらの仕事が業績向上に
 寄与してきたとは考えられない。
  
 (第2章 「自分だけは大丈夫」という思い込み)
 
 
かつて僕はシステム会社で、
情報セキュリティのコンサルタントまがいの
仕事をしていた。
所属していたその会社も、猫の目のように制度や部署がころころ変わり
前期よりも評価されるべき判定をもらったのにも関わらず、
直前になって評価に応じた昇給率自体が人事評価制度の改定によって
低く抑えられるという後出しジャンケンみたいな真似にも直面していた。
そして誰にも喜んでもらえない、情報セキュリティに関する施策を
Word と PowerPoint と Excel で日付が変わる寸前まで作成していた。
情報セキュリティ基本方針、リスクアセスメントとその方法、
情報セキュリティ実施規定、情報セキュリティ実施手順・・。
適用宣言書に、各種申請フローでの様式。説明資料、教育コンテンツ etc....。
結果としてその仕事を辞した理由は、決してひとつではないが、
「いったいこの仕事で、誰が喜び、誰に貢献できるのだろう」という
ふと襲う虚無感や無力感だったのは自分の中では無視できない。
守らなければいけない法や取得しなければいけない認証。
個人情報保護法、ISO27001、プライバシーマーク。
関わったお客さんはみな一様に、仕事が増えるのを嫌いつつも
不承不承、ドキュメントに目を通す。
自分では、この仕事が顧客にとって、
煩雑な義務にしか過ぎないことが分かっているし、
それ故に、説明やプレゼンも迫力を欠いていたかも知れない。
「こんなことしてなんになるの?」、「利益につながるの?」
「誰が喜ぶの?」。
そんな声が浴びせられることを考えて、一人で勝手に落ち込んでいた。
感謝はおろか無駄なことかも知れないと感じていることで、
終電近くまでノートPCに向う時にふと感じる虚無感は
なかなか厄介だった記憶がある。
コンサルなんて所詮虚業。偽悪的に心の中で呟いても
充たされない寂しさは確実にあった。
「役に立ちたい」という基本的なモチベーションが
充足不可能だと、人間は辛い。
 
 
 しかし、自分がどのように思っていようと関係ない。
 周囲の人から、組織や社会の継続にとって脅威となる存在と
 思われているのであればその仕事をしている人は、
 がん細胞と言われても仕方がないのだ。
 ホワイトカラーががん細胞とする根拠は、次の二点に集約される。
 
  .曠錺ぅ肇ラーが、営業活動とは直接的に関係しない仕事を
   現場も巻き込んで行っているために、生産や販売などの活動に支障が
   生じ、業績悪化の要因になっている。
  ▲曠錺ぅ肇ラーが、自らの存在感をアピールするために仕事を増やし、
   そのたびに、人員と人件費が増加して、
   業積悪化の要因になっている。
  
 (中略)
 
 現在、ホワイトカラーのリストラが必要とされいるのは、ただ単に、
 会社の業績悪化が続き、余剰人員の雇用調整を
 行わなければならないからではない。
 むしろ、ホワイトカラーが業績悪化の要因になっていることから、
 それを削減することにより会社の営業活動を適正な状態に戻すことが、
 リストラの本当の目的である。
 
 (第3章 「がん細胞」となったホワイトカラー)
 
 
・・・・・「がん細胞」か。
「がん細胞」がアウトソーシングされたなれの果てが
過去の僕の仕事だったのか。
気が滅入る。

第4章の「人事部長M氏の見た光景」は、
とある電機メーカーの人事部長の手記の体裁を取った、
企業内での、「がん細胞除去」のプロセスだ。
ここでは多くは語らないが、生々しくえぐい。
段階を踏んで、社内の雰囲気を醸成しつつ、
最終的なリストラ候補者を絞り込んでいく様は、戦慄すら覚えた。

ではどうすればいいのか。
著者の深田和範氏はコンサルタントらしく、高所大所からの提言が多い。
即効性のある主張ではない。
それが残念ではあるが。
例えば、「男性が主たる生計維持者として家計を支える」という考え方から
「家族全体で家計を支える」考え方にシフトする必要性を説いたり、
(それはそれで少子化に拍車をかける危険性をはらむが)
解雇に対する規制のみ厳しく、失業者の保護が弱いという
現在の労働施策の改善。
職場や立場が変わっても
「自分ができること」(≒自分が動きやすい環境や立場を作り出すこと)と
「自分がやりたいこと」を徹底的に考えることが重要であること。
不安定を恐れず、「できないこと」に挑戦し続け、
真の意味での「成長」実感を得ることを目指さなければ
もう後が無い状態にまで追い込まれていること自覚すること。


なんて、過酷な世の中。
自分は「不安定を恐れず、「できないこと」に挑戦し続け」ることを
絶えず継続できるのだろうか。
精神的スタミナがまだ十分じゃない。
そして何に挑戦すればいいのか。
悩ましい。
我が身を振り返って、憂鬱であるが、
考える機会を与えてくれたという意味では良書。




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  • 2014.03.25 Tuesday
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コメント
転職を少し考えているので、参考になりました。お互い自分が落ち着ける場所とか道が見つかるといいですね。頑張りましょう。
  • bnfm
  • 2009/12/31 12:08 AM
> bnfmさん

こんばんわ。改めて今年も宜しくお願いいたします。
今年はお互いに変化する年でありたいですね。
共に頑張れますように祈ります。
  • 3amop@「HAPPYNEWYEAR」
  • 2010/01/01 2:53 AM
『文系・大卒・30歳以上がクビになる』の著者、深田和範です。
小生の本をブログで取り上げてくださり、ありがとうございます。

小生、まさしく、あの本のとおりにリストラされそうになっております。
詳しくは、このブログをみてください。

http://ameblo.jp/kmsh114/
  • フカダ
  • 2010/04/17 11:27 PM
>フカダ様。
はじめまして、3amopと申します。
本人たる真正性が担保されないネット上において
まさか著者ご本人からアクセスとコメントがあるとは
いまだ半信半疑です。
赫々たるキャリアを築いてらっしゃったであろう
フカダさんがこのような苦境に立たされているとは
夢にも想像しておりませんでした。
ご家族を抱えた状況での今回の事態に、
心労をお察しいたします。

私も以前コンサルタントの端くれを
生業にしていた時期があります。
やはり、漠然と感じていたことは、

 屬海了纏はホワイトカラーの仕事のための仕事ではない  のか」
◆屬海了纏が本当に顧客の利益に貢献しているのか」
「この仕事によって本当に顧客は喜んでいるのか」

を常に感じていました。この点はフカダさまと思いは
あまり差異はないかと勝手に考えています。
経営戦略系などのコンサルファームなどとは違い、
情報セキュリティコンサルティングを業務範囲と
していたため、上記3点の疑問への思いは、より強く
潜在的かつ常に感じていました。
上記の疑問と、コンサルタント特有のキャリアステップと
自分の適性の乖離、人間関係の軋轢等が原因で
心身を病み、退社して3年が経ちました。
現在、最後の療養中です。
元・コンサルタントであり、人生の先輩である
フカダさまに是非ご教示頂きたい事があります。
ブログを拝見いたしました所、(2010年04月11日エントリ)
仕事には

>2つの種類がある。

>例えていえば、1つは、「井戸を掘る仕事」

>もう1つは、「井戸から出る水を汲む仕事」。

とお書きになっておられました。
印象論で申し訳ありませんが、「井戸を掘る仕事」は
例えば、私が以前従事していた、ISO等の国際規格やプライバシーマーク等の認証制度という「井戸」から「出る水を汲む仕事」とは異なり、不安定を恐れずに「できないこと」に挑戦し続け、真の意味での「成長」実感を得ることに近い
「仕事」のように思えます。
元・コンサルタントというキャリアが、
その「井戸を掘る仕事」に近づくには
どのようなパスが存在するのでしょうか。
フカダ様がご存知の範囲で結構ですので、
もしご教示頂けたら、今後の私の職業選択に
貴重な参考になると考えています。
お忙しいとは重々承知ですが、何卒、お返事をお待ちしております。

念のため、私のメールアドレスも添えさせて頂きます。
宜しくお願いします。
また、今後の出版予定も御座いましたら
是非お教え願いたく思います。
長文失礼いたしました。

  • 3amop@「お察しします」
  • 2010/04/19 2:44 AM
3amopさま

フカダです。
自分自身が、いまだに将来の展望がはっきりと見えない状況ですから、偉そうなことをいえませんが・・・。

「井戸を掘る仕事」というのは、社会に新しい価値を提供できるビジネスを意味します。
新しい価値を定義して、それを世間に広めて、おカネを稼げるような仕組みを作ること・・・。
これが井戸を掘るということです。

ですから、「井戸を掘る仕事」に近づくためのパスというものは存在しません。
確実に「水が湧き出る」ような方法(パス)はなくて、とりあえず穴を掘ってみて「水が涌き出ればそれが井戸になる」ということだろうと思います。

今、自分は、いくつかの企業を回り「こういうビジネスをしたい」というプレゼンをしています。
これが私の転職活動です。
これまでの自分の経験の中で「世の中、こういうことが足りないんじゃないか」と思ったことを整理して、それを事業化する企画書を書いて、「御社でこれを事業としてやらせてくれ」ってアピールしています。
(他社に頼らないで自分で起業すればいいじゃないかって思うかもしれませんが、まぁ、いろいろと考えるところもありまして・・・。)

貴殿におかれましても、今までの仕事の中で「本当に顧客は喜んでいるのか」という疑問をお感じになった経験をお持ちであれば、「本当に顧客が喜ぶことは何か」と考えて、それをビジネスとして事業化できないか、追求してみたらよいのではないでしょうか?

今後の出版予定はありますが、それは、おいおい。
自分のブログで、これから紹介していきます。

それでは、お互いに頑張りましょう。
  • フカダ
  • 2010/05/02 7:13 PM
フカダ様
3amopです。ご返信遅くなりました。
ご丁寧なご助言に感謝いたします。

>「井戸を掘る仕事」というのは、社会に新しい価値を
>提供できるビジネスを意味します。
>新しい価値を定義して、それを世間に広めて、
>おカネを稼げるような仕組みを作ること・・・。

>これまでの自分の経験の中で「世の中、こういうことが足>りないんじゃないか」と思ったことを整理して、それを事>業化する企画書を書いて、「御社でこれを事業としてやら>せてくれ」ってアピールしています。


なるほど。理解いたしました。
しかし、自分には、「社会に新しい価値を提供できるビジネス」というものが具体的には何かということが、今の所、ビジネスアイデアのような形で、具体化できてはいません。
そこが歯がゆいし、正直フカダ様のコメントを拝読して、
職業人としての格の差を痛切に感じて、正直暗澹とした気分になりました。

>「本当に顧客は喜んでいるのか」という疑問をお感じにな>った経験をお持ちであれば、「本当に顧客が喜ぶことは何>か」と考えて、

多分、ここまではできるのですが、恐らくそれは、時流の流れから推測される今後の成長業種、よりユーザーニーズに近い事業を行っている企業、それらへの漠然とした勘と興味に留まっており、
「それをビジネスとして事業化できないか」という気概も能力も無いのだなあの痛感いたしました。
恐らく私は今後、短期間のアルバイトを経て、上記の企業・業種にアプローチしていくくらいしかできないように思えます。
このような方法で、「井戸を掘る仕事」を行える立場に
最終的に到達できるか、とても不安ですが・・・。

今後のためにお伺いしたいと考えているのですが、「それをビジネスとして事業化できないか」追求し、企画書を書き、「御社でこれを事業としてやらせてくれ」とアピールする一連のビジネス行為に、必要な素質及び能力とは何かということについてフカダ様は、どのようにお考えになりますか?
ご助言願えれば幸いです。

末尾ですが、フカダ様のブログをLinkに追加させていただきました。ご迷惑でなければ幸いです。
  • 3amop@「ご回答感謝いたします」
  • 2010/05/10 1:26 AM
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