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  • 2014.03.25 Tuesday
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書評・「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」−その産地でウイスキーを飲むことへの憧れ

もし僕らのことばがウィスキーであったなら
もし僕らのことばがウィスキーであったなら
村上 春樹


「もし、僕らのことばがウイスキーであったなら、
 もちろんこれほど苦労することもなかったはずだ。
 僕は黙ってグラスを差し出し、
 あなたはそれを受け取って静かに喉に送り 込む、
 それだけですんだはずだ。
 とてもシンプルで、とても親密で、とても正確だ。
 しかし残念ながら、僕らはことばがことばであり、
 ことばでしかない世界に住んでいる。
 僕らはすべてのものごとを何か別の素面のものに置き換えて語り、
 その限定性の中で生きていくしかない。
 でも例外的に、ほんのわずかな幸福な瞬間に、
 僕らのことばはほんとうにウイスキーになることがある。
 そして僕らは−少なくても僕はということだけど−
 いつもそのような瞬間を夢見て生きているのだ。
 もし僕らのことばがウイスキーであったなら、と。」


「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」"前書きのようなものとして"より(村上春樹)
 
ウイスキーを誰かと飲む理由として、こんな的確な表現は稀だと思う。
「ウイスキーは人を沈思させ、
 コニャックは人を華やかにさせ、
 ワインは人をおしゃべりにさせる」というフランスの諺(ことわざ)があるが、
ウイスキーは一人で飲むときには確かに、沈思を、
そして、(少なくとも)会話の間が気にならない相手と飲むときには
自分と相手ののことばがお互いに、まるでウイスキーのように
香りをたてて染み渡る、そんな瞬間を期待して飲むはずだ。(僕はそうだ)

「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」は、
とてもシンプルな本だ。
村上夫人の撮影した旅情をかきたてる写真を、随所にちりばめた
120ページ余りの掌編。
ウイスキーそのものというよりは、
ウイスキーを作る者、ウイスキーに不可欠な
スコットランドやアイルランドの風景、
そしてウイスキーをその土地で飲む者に
対して、控えめな語り口で愛情を表現している本だ。
もし、読み手がいささかなりとも
アイラ島やアイリッシュのウイスキーに
愛情をもっているのなら
強烈な嫉妬を筆者に感じるだろう。
「一度でいいから、僕も(私も)それが作られた土地で
ウイスキーを静かに喉に送り込みたい」と。

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