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  • 2014.03.25 Tuesday
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書評・「世界音痴」穂村弘−セカイとの隔絶

歌人にして会社員。39歳独身(今は結婚しているらしいが)。


穂村弘のエッセイ「世界音痴」を読んだ。

世界音痴
世界音痴
穂村 弘

 飲み会が苦手である。友達にそう云うと、飲み会なんて、ただ自然に
 楽しめばいいだけじゃないか、と不思議がられる。
 だが、私はまさにその「自然に」楽しむことが、いちばん苦手なのである。
 (略)
 
 やがて座が盛り上がってくると、みんなは「自然」に席を移動しはじめる。
 自分のグラスを手に、トイレに立ったひとの席に「自然に」座っている。
 座られた方もごく「自然に」また別のところに移動して、
 その場所で新たな話の輪をつくっている。
 だが私には最初に座った席を動くことがどうしても出来ない。
 (「世界音痴」より)

もしも「飲み会」が「世界」に置換できるなら、
これは「世界の中に入れない」著者のおかしくて
やがて切ないモノローグ(独白)だ。
いちいち自分に重なってブルーになる。
ただし僕と大きな隔たりがある点は、穂村弘は

 「誰のことも、一番好きな相手も、自分自身に比べたら十分の一も
 好きじゃないよねあなたは。」十年間つきあってきた相手が
 或る日、私に向かってそう云った。責める口調ではなかった。
 ずっと一緒にいて感じたことが自然に口から出た、という印象だった。
 (あとがきより)

のように「私のことが好きだったのだ」に比べて
僕は自分自身を肯定できずに、対社会との関係性に自信を持てず
「世界音痴」に陥るタイプだ。

それにしてもいちいち自分と重なるエピソードが多い。
 
 (中略)結果的に部屋にいる間中、ほとんど眠ってばかりいることになる。
 (略)睡眠が足りていても眠ってしまうのである。
 よく眠ったからすっきりしたから遊びに行こう、という気持ちにならずに、
 枕から少しだけ浮かせた頭をパタッて落として、そのまま眠ってしまう。
 その後ろめたさ。心地よさ。
 (略)そんな話をすると、いや家には子供がいるからいやでも起こされるけど
 ひとりだったら俺だってそうなるよ、と云う人がいる。でもそれは違うと思う。
 本当にそうなる人間には子供はできない。その人に子供というものがあるのは
 そういう人間ではなかった証なのだ。
 目が覚めたら起き上がって行動したいという意欲が、
 結果的に子供のかたちになって
 この世に現れたのである。巡り巡って、
 その人はちゃんと自分で自分を
 起こしているのだと思う。
 (「まだ眠ってるの?」より)
 
何だろう。穂村弘と僕のセカイとのずれは。
ここのところ週末は14:00に目が覚めて二度寝した。
全く生産性のない一日。

穂村弘がこのエッセイで取り上げる「セカイとのずれ」は
とてもささやかで、取るに足らない事柄に過ぎないのかも知れない。
しかし当人(もちろん僕も)にとっては
とてもとても大きなことだ。
それこそが、自分とセカイの、どうしようもない距離の
秘密を握る鍵かもしれないのだ。
「適正な喜びや感謝の度合い」から
何光年も隔てられ、
決定的で、後天的か先天的かは分からないが
何かの星の巡り合わせで、
「『自然さ』を奪われた者は、世界の中に入れない。」
(「再び、世界音痴」より)
 
 
 ほんとうにおれのもんかよ冷蔵庫の卵置き場に落ちる涙は
 
 このばかのかわりにあたしがあやまりますって叫んだ森の動物会議











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  • 2014.03.25 Tuesday
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