スポンサーサイト
一定期間更新がないため広告を表示しています
- 2014.03.25 Tuesday
- -
- -
- -
- -
- -
- by スポンサードリンク
会社を出た後の話。
二輪の第一段階も突破し、学科の模擬試験も合格した。
古着屋巡りに飽きてきた頃にはもう18:00だった。。
美味しい食事がしたい。
旨くもなく不味くもないが、
出荷される前のブロイラーみたいな
気分になる、教習所の食事には正直うんざりだ。
気の赴くまま、「MA POUPEE JVRE(マプペ・イーヴル)」という
仏蘭西料理店に入った。
上品を具象化したような中年の女性が、魅力的な微笑で迎えてくれた。
ただ僕のラフすぎる格好に、ほんの少し当惑していたみたいだ。
店内は、
まるで、実家に住む、仲の良い友人宅の応接間のような
居心地のよい雰囲気。
僕は、すぐに自分がラッキーだったことに気づいた。
メニューはコースのみ。
5000円のコースに決める。
まずはグラスの赤をオーダーする。
果実味がしっかりしていて満足する。
僕はフランス料理にまったく詳しくない。
メニューについて覚えていることは
前菜がエスカルゴ、
次が豆のスープ。
魚料理が真鯛のクリームソース。
肉が和牛のママレードソースだった。
そしてデザートは胡麻のアイスクリーム蜂蜜添え。
皿が運ばれ、料理を口にするたび溜息をつく。
そうだ。おいしい食事とはこういうことだ。
心の底からリラックスする。
僕が魚料理を口にしている間に
もう一組の女性客二人は帰っていった。
彼女たちはほとんど物音も立てず
会話もささやくように交わしていた。
まるで静寂を乱すのを、罪悪と考えているかのように。
僕も自然と、ナイフと皿が触れ合う音を極力抑えるようになる。
いい雰囲気の店とは、従業員のみでは成り立たない。
友愛に満ちた客の協力もまた不可欠だ。
そんなことを考える。
「エリーゼのために」が静かに店内を流れる。
前述の上品を具象化したような中年の女性と会話を交わす。
オーナーシェフである夫と二人で25年間やってきた店だが
今月の19日で閉店するのだそうだ。
僕は心の底から残念に思う。
そして誰かの、25年間築き上げてきた
人生の一幕の終了ベルが鳴り出す頃に
幾重にも重なった偶然で、立ち会えた自分の
幸運さにひとり頷く。
差し支えなければ、と前置きして理由を尋ねると
やはり新潟でフレンチを続けていくことが困難であること、
そして彼女と夫との間の三人の子供の教育費を考えると
今の店での収入では難しいことを話してくれた。
今後は、(できれば)ペンションの雇われシェフとしての
再出発を図りたいのだそうだ。
僕は自分の住所を教え、
その折には連絡が欲しいことを伝えた。
もしそれが実現すればとても素晴らしいことだし、
休暇が取れれば、取得している(はずの)自動車免許で
車を駈って相方とでも連れ立って、
その素晴らしい食事を再び味わいにいくだろう。
会計を済ませてドアを開けると、
その女性は魅力的な微笑のまま、外まで見送ってくれた。
僕は、彼女とシェフの幸福な再出発を
祈っている旨を伝えて、新潟駅に向かう。
いい一日だった。
夜の新宿。一ヶ月ぶりに仕事帰りの相方と会う。
前触れもなく、相方が急に会いたいと言った。
彼女の仕事が終わるのを待って、20:00に下高井戸で待ち合わせる。
駅の近くのイタリアン「Tonino」で食事をする。
金曜ということもあって、店はカップルでごった返していた。
この店は釜焼きのピッツアが美味しい。
カプリチョーザ(Capricciosa )を注文する。
(Capricciosa はいい加減とか当てにならない とか言う意味らしい。
出て来てのお楽しみといったところだろうか…)
その名のとおり、オリーブやらオレガノやらモッツアレラやらが盛り沢山に
乗っていて食べ応えがあった。
ラクリマ・クリスティ(キリストの涙)という名のワインを飲む。
どうしても「ラクリマ・クリスティ」といわれると
某ビジュアル系バンドを
イメージしてしまうので今まで飲んだことがなかったのだが
果実味もボディもしっかりしていて旨かった。
頃合いを見て、バイクで東京中を走り回って買った
誕生日プレゼントのブレスレットを相方に渡す。
彼女はその場で、腕に通して喜んでいた。
雨が降り出しそうだった。
頭が割れるまで眠って起きた朝。
渋谷のセンター街が嫌いになったのは、いつからだろう。