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  • 2014.03.25 Tuesday
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「容疑者 室井慎次」を観て。

踊る大捜査線の存在をはじめて知ったのは恐らく大学生時代で。


僕はアルバイト先の、サブカルチャーや音楽、映画などにめっぽう詳しい、
(その頃はすごく仲がよかった)女性の先輩に教わった。
時流に乗ることがまるで、自分のアイデンティティに関わることかのごとく
流行りモノには拒否反応を示さずにいられなかった、ガキな僕は
「(俺は)踊らねー。」などと言っていたものだ。

踊る大捜査線 THE MOVIE
踊る大捜査線 THE MOVIE
を映画館で観たのはたまたまだった。
柳葉敏郎演じる室井参事官と、織田裕二演じる青島刑事との
友情に、不覚にも目頭が熱くなったのを覚えている。

TVシリーズがレンタル店の棚に並んでしばらくしてから
僕は、「踊る大捜査線」を観出した。
もうリーマン稼業をやり始めてからの頃だ。

「絶対、上にいってやる」
室井の科白はそのまま自分にはね返り、
「なんで所轄に情報が降りてこなかったんですか?!」の
青島の言葉も、カイシャの都合に翻弄される僕に、突き刺さった。
あまりにチンケな自分は置いといて
僕は室井さんのような男になりたかった。
孤高で、自分の信念に忠実で、一途で、寡黙で。

今はただ、通すべき自分の正義も筋も失くしてしまって
僕は単なる歯車だ。

同期のY。
世事に長け何事も丸く納める術を知っているY。
彼が、「踊る大捜査線」の熱狂的なファンであることも
今になってはその理由がよく分かる気がする。
ああ。彼も自分のナニカを曲げて、ナニカを飲み込んできたのだろう。
それこそ僕が想像もつかないレベルで。

容疑者 室井慎次
容疑者 室井慎次

を観た。今更。

今でも柳葉敏郎演じる室井が貫こうとする、
「自分ガ信ジルコト」に対して
胸が熱くなった自分に戸惑う。

所詮僕はしがないリーマンだ。
妥協と落とし所と、最大公約数のなかで
右往左往する程度の存在だ。
通すべき「自分ノ正義」も「筋」も失くしてしまって。
だからこそ、柳葉敏郎演じる室井の不器用ながら
自分ノ信ジル道をリスク承知で、貫こうとする姿に感銘を覚える。
所詮、映画という虚構の中であったとしても。

印象的なセリフ
 
 「みんな正義とういうものが怖いんだ。」
 「覚えときなよ。真実じゃカネになんないの。」
 「真の権威とは勇気を忘れないものに与えられる。」

PS:
あいも変わらずチャキチャキと走り回る
田中麗奈は可愛かった。




DVD評・「港カヲル in 都会の山賊ツアー~演奏・グループ魂」--

不覚にも「カッコイイ」と思ってしまった。



爆笑と比類ない躍動感。やっぱすごいぞ。グループ魂。



港カヲル in 都会の山賊ツアー~演奏・グループ魂~
港カヲル in 都会の山賊ツアー~演奏・グループ魂~


ディスク:1
1. 港カヲルの気合注入
2. オープニング
3. 都会の山賊
4. これから本番!
5. ペニスJAPAN
6. AKIRARETA
7. モテる努力をしないでモテたい節
8. メンバー紹介
9. 半日消防署長
10. 本田博太郎~magical mystery UPAAAAAAAAA!!!!!~(コール&レスポンス)
11. 楽屋にて
12. 親戚ショック!
13. 車の運転むいてない by 港カヲル
14. くるま売りたいな
15. ロックの先輩
16. ロックの先輩がやって来た!
17. ドカドカうるさいR&Rバンド
18. 君にジュースを買ってあげる(ハート)
19. ロックの先輩とリハーサル
20. バイト君MC
21. ともかず(バイト君40歳記念ソング)
22. 冷夏&母登場
23. ゲストとリハーサル
24. グループ魂の弟オーディション東京大会
25. Day Dream Bliever
26. TMC
27. エンディング
28. タクシーで

最新アルバム
TMC
TMC
からの曲が中心。

実質的なオープニングである、「ペニスJAPAN」。
渋谷AXの一階席がドラムのバスを聴いただけで
「ペニスJAPAN!ペニスJAPAN!ペニスJAPAN!」の大合唱。
振り上げられる拳。
心底、ライブに行きたかったと嫉妬する。
(MCの港カヲル曰く、NYでレコーディングしたが、あまりの下品さに
 エンジニアが怒って帰ってしまったらしい。)
 
声帯も裂けよとばかりに叫ぶ暴動(阿部サダヲ)。



これ以上ないと言うほど馬鹿げた格好で
あおる渚カヲル。(角は電動式モーターで回る)



ことあるごとに、グループ魂のトレードマークで引っ叩かれる
バイト君(村杉蝉ノ介)



なんと「ロックの先輩」等では忌野清志郎登場。
贅沢だ。贅沢すぎる。



忌野清志郎の歌をマトモに聴くのは初めてだったが、
年齢層関係なく否応なく惹きつける何かがある。
名曲「Day Dream Believer」はいつ聴いても、切なくなる。

====================================
もう今は 彼女は どこにもいない
朝早く目覚ましが鳴っても
そういつも 彼女と 暮らしてきたよ
ケンカしたり 仲直りしたり
ずっと夢を見て 安心してた
僕はDay Dream Believer
そんで 彼女はクイーン
でもそれは 遠い遠い思い出
日が暮れてテーブルに座っても
今は 彼女 写真の中で
やさしい目で 僕に微笑む  

ずっと夢を見て 幸せだったな
僕はDay Dream Believer
そんで 彼女はクイーン
ずっと夢を見て 安心してた
僕はDay Dream Believer
そんで 彼女はクイーン
ずっと夢を見て 今も見てる
僕はDay Dream Believer
そんで 彼女はクイーン
ずっと夢を見て 安心してた
僕はDay Dream Believer
そんで 彼女はクイーン
ずっと夢見させてくれてありがとう
僕はDay Dream Believer
そんで 彼女がクイーン
====================================

断っておくが、感動する場面はここだけだ。
あとは、PUNKISHな疾走感のナンバーと、コント。



平均年齢38歳、10年選手。
ついていくぜ。グループ魂。


DVD評・「下妻物語」--ロリータとヤンキーのPOPな友情。

嫌われ松子の一生でブレイクした中島哲也監督の「下妻物語」を観た。





下妻物語 スタンダード・エディション
下妻物語 スタンダード・エディション
深田恭子

(ストーリー)
茨城県の下妻市に住む高校生竜ヶ崎桃子(深田恭子)は
フランスのロココに憧れる
ロリータ道一直線の高校生。
友達がいなくても全然平気。彼氏も肉親も「んなもんは肩書き」。
欲しいものは父親のお金を騙し取っても買う。
自分で言う。「マジで心根が腐ってますハアトン」

そんな桃子は、駄目親父(宮迫博之)が扱ってたヴェルサーチのバッタもんを
を縁に、天然記念物もんのヤンキー娘白百合イチゴ(土屋アンナ)と出会う。

ロココに憧れる桃子は、刺繍が得意。
自分の所属する暴走族の頭の引退式に、
「ありがとう」と入れてもらった特攻服を着たいと願い
伝説の刺繍屋を探すために苺は桃子を代官山を連れ回すが
伝説は伝説のままだった。
落胆する苺。
見かねた桃子は、自分が刺繍すると申し出、
不眠不休で、苺曰く「すげーよ!こんな渋い刺繍見たことねーよ(略)
あたいおめえになんて言えばいいのか。。」
と言わしめる刺繍をする。
人と人が関わることが良く分からない桃子は
苺のペースに振り回されつつも、(苺に頭突きを喰らいながらも)
少しづつ友情が芽生えていく。
しかしある日、代官山にあるロリータ・ファッションのショップである
「BABY, THE STARS SHINE BRIGHT」で、桃子が刺繍の才能を見出されたことから
桃子と苺二人を巻き込む大きな事件が発展する。

 才能があんのにその才能認めてくれる人いるってのに何悩んでるんだよバカ!
 おめーが作んなきゃそれ着たい人どうすんだよ?
 ジャスコで済ますしかねーじゃんかよ!(苺のセリフ)


ヤンキーとロリータ娘の意外な取り合わせ。
深田恭子がハマリ役。
土屋アンナの下品で一本気なヤンキーの演技もいい。
漫画チックなストーリーの描き方も
いかにも中島哲也監督ワールド。
エンターテーメントに徹した才能は貴重だと思う。
しかも結構破天荒で感動的なラストだ。


 人間は幸せを前にすると急に臆病になる。
 幸せを勝ち取ることは不幸に耐えるより勇気がいるの
 (幼少期・竜ヶ崎桃子のセリフ)

今の僕には考えさせられるセリフだ。
問題は「幸せ」が何か分からないことだ。







DVD(書)評・「嫌われ松子の一生」--

日本文学科卒の癖に、新刊本が並ぶ書店を覗くことは結構ストレスがある。


新刊本のコーナーに行けば、「国家の品格」?
「のだめカンタービレ」?
さほど興味はないが、時代に追いていかれそうだ。
文芸書ばっかり読んでていいのか?
フラフラとビジネス書コーナーへ。
「コーチング」?
「日本版SOX法?」?
あー。勉強しなければ。

だから僕はBOOKOFFがわりと好きだ。
流行りモノ「だった」ものを冷静に品定めできるから。
「失楽園」やら「セカチュー」がたな晒しになっている光景は
なかなかの見物だ。

中谷美紀主演映画の原作。
そのフレーズがなければBOOKOFFで
「嫌われ松子の一生」を手に取ることはなかっただろう。
作者である山田宗樹
知らない名前だった。
大体「ミステリ」というジャンルは先入観がある。
貧乏性なので、趣味である読書ですらも
「何か得たい」、もしくは「何かを癒されたい」という
気持ちが先走る。

嫌われ松子の一生
嫌われ松子の一生
山田 宗樹

帯の重松清の評ではないが、「一晩で読了した」。
主人公である川尻松子のその数奇な人生と転落。
数十ページごとに綴られる劇的かつ負のドラマ。
「転落」の恐怖は、いつだってあったが
こうも鮮明に、詳細に語られるとは。
本を閉じた時、奈落に落ちたような感覚だった。
まず、原作「嫌われ松子の一生」は面白かった。
本当に。
スピーディな展開とショッキングなエピソード。
これが「ミステリ」というジャンルの特徴なのか?
(あまり読み慣れないジャンルなので分からない)

主人公である川尻松子は教師として働く。
しかしトラブルがあり失踪。
自称作家との同棲。暴力。そしてその相手の死。
不倫。
そして風俗へ。
ヒモと同棲。殺害。服役。(以下略)

「身をもち崩す」。
古風な表現だけど、それがピッタリする。
読み手の一部は笑うだろう。

「そこまで悲惨な人生ってそうそうないって。」

本当に?僕は笑えない。
あんたは男だからそんなこと言えるんじゃないの?
あんたは女なのにそんな想像力もないの?
あんたと僕がまだ「マトモ」なのは偶然なだけだよ。
ありふれた三面記事の表面は
「悲惨な人生の残滓」で埋もれてるじゃないか。
中高校時代のクラスメートの一人や二人、
そんな人生歩んでる奴がいないって保証はできる?
読んだ後に僕の足をすくませるのは
そんな”残滓”への「想像」。
自分の人生が恐ろしくなった。

ストーリーは東京で大学生活を送っている川尻笙に
父が訪れる所から始まる。
父にとっての姉、笙にとっては叔母である川尻松子。
彼女が最近東京で殺害されたことを笙は聞かされる。
父の頼みとは自分の代わりに、
松子の部屋の後片付けをして欲しいとのことだった。
笙と恋人の渡辺明日香は、松子が何を思い生きてきたかに興味を持つ。
笙は松子が歩んだその人生に衝撃を受けることになる。

その翻弄される人生の初盤で川尻松子は思う。

 「わたしは、唇を噛んだ。悔しくて目を伏せた。
 泣くものか。ただそれだけを思った。」(第一章 骨)

その強い意志は感動的だった。物語の後半に至るまで。
そしてどんなどん底においても
幸せを希求し、ついに果たし得なかった主人公。
ただただ「誰かに愛されたい」、「自分の居場所が欲しい」
だけだったなのに。

 ここでわたしは、他のパートタイマーや上司を驚嘆させることになった
 この三連ベルトコンベアを、苦もなく使いこなしてしまったのだった。
 (略)生まれて初めて、自分の能力を存分に活かし、
 それが周りに認められているという実感を持てた。(第二章 流転)
 
トルコ風呂(現在「ソープランド」という名の風俗店)に
勤めだしても同様だった。
帰り間際にトルコ風呂『白夜』マネージャである赤木から
努力の末、売り上げトップになったことを松子は聞かされる。

 「経験したこともないほどの充実感が、指先まで満ちていった。」(第二章 流転)

そして自殺未遂をした時に助けてくれ、関係を持った
島津との生活を夢見るがゆえの、刑務所内での美容師資格取得への挑戦。

どんな状況でも、決して目を逸らさずその場所その場所で
ひたむきに努力をする。
松子はそんな人間だった。なのに。
最後の松子が迎えた人生の結末は、ひどかった。

そして松子殺害の容疑を裁く裁判所の傍聴席で
笙は、「ついでにちょっとからかってやろうと思っただけで」と
言う犯人に向かって叫ぶ。

 「おまえら、自分が何をしたかわかってんのかよ!
 からかったぐらいで人が死ぬかよ、
 松子伯母さんがどんな気持ちで・・・・・・・おまえらなあっ!」(終章 祈り)

失踪してから家族に縁を切られた松子を死後
笙は彼女を理解した。多分川尻家で唯一。
しかも本人が死んだ後に。

読後感は、松子の人生に対する真摯な姿勢と
それが報われなかった残酷さ。それが胸を突いた。
「頑張ったって報われるとは限らない。」
そんな言葉がのしかかった。
エンターテイメント性と重さ。
相反するものが感想だった。

嫌われ松子の一生 通常版
嫌われ松子の一生 通常版
中谷美紀

映画版。脚本・監督は「下妻物語」が出世作の中島哲也。
中島哲也に中谷美紀はかなり厳しく指導されていたらしい。

先に断っておくと僕は中谷美紀の大ファンで。
「中谷美紀が今度主演する映画」だから原作を読んだはずで、
観たときからそんなに時間が経っていないことは確かだ。
そうだ。BONNIEPINKが挿入歌をてがけているのも
大きかったはずだ。

LOVE IS BUBBLE
LOVE IS BUBBLE
BONNIE PINK,Youichi Murata

彼女にしては珍しいビッグバンド形式。
彼女のアンニョイな曲調が好きだった僕は、新鮮な驚きをもって聴いた。
悪くない。

中島哲也はこの悲惨な物語をアニメやミュージカルシーンも交え
カラフルかつコミカルに描く。
ほんとうにすごい。
原作の多少の省略はあれども忠実になぞりつつ
かつポップ。
いやまあ所々、目を背けたくなるシーンはあるけど。
(映倫・PG-12指定・・12歳未満の鑑賞には成人保護者の同伴が適当。)
川尻松子の波乱万丈の人生を2時間強に詰め込んだから
ストーリー展開も早い早い。
5分おきぐらいに松子の人生が変わってくといっても
過言じゃないぐらいだが、せわしさはない。

どうしてこんなにも中谷美紀は美しいのだろう。
エプロン・けばけばしい水商売の姿・囚人服etcetc。
本当にどんなスタイルでも。
それだけでも観る価値がある。
松子が筑後川を最後に訪れた以降の

「もう誰も信じない。もう誰も愛さない。もう誰も自分の人生に立ち入らせない。」

と独白した頃、川尻松子晩年の
あまりに鬼気迫るメイクと衣装が
正直、中谷美紀のファンとしてはキツかったけど。
本当に美しくキュートだ。
ミュージカルシーンで踊り、泣き、笑い・・。
その表情のひとつひとつがまるで彫刻みたいに
ゆるぎない美を感じる。

そして女優・中谷美紀の迫真の演技。
妹の死を告げられたときの嗚咽。
自分の人生が狂うきっかけになり、
そして最後に愛した男、龍洋一に
殴られあざがついた顔のまま
ネグリジェだけの姿で泣き叫ぶシーン。

「もういい!もうなんでもいい!あなたの好きなように生きなさい!
 もう二度とヤクザをやめろなんていわない!
 あなたが極道ならあたしは極道の女になります。あなたのそばにいられるなら・・」

映画「嫌われ松子の一生」は
中谷美紀の代表作になると思う。

脇を固める俳優陣も、無駄なく贅沢に豪華。

龍洋一(松子の元教え子):伊勢谷友介
川尻久美(松子の妹):市川実日子
八女川徹也(小説家志望のヒモ):宮藤官九郎
小野寺(松子に刺殺されるヒモ):武田真治
島津賢治(松子の自殺未遂時に出遭う美容師):荒川良々
綾乃(トルコ嬢):BONNIE PINK

BONNIE PINKなんかセリフ二つだけ。
でも、その幸薄げな美しい存在感がハマっていた。
武田真治なんか三分で殺されてた。


エンディング。
松子が最後に住んだアパートに近い荒川の河川敷と
故郷の筑後川を交互する空撮と回想。
そして松子が一番汚れのない頃の姿で天上の階段をゆっくりと上っていくシーン。
中島哲也らしいファンタスティックな演出。
自らが望んだ父親の愛情を一身に受けたがゆえに
憎んでいた妹を許し、「ただいま」という松子。
原作にない「救い」があったと思う。

原作における最後の法廷シーンをカットしたことは
いいことだったのか分からない。
ただ原作で笙によって叫ばれる、松子の死に対する怒りという
「愛情」(多分、松子が一番欲しかったもの)は
映画ではより美しく与えられてる気がする。

原作者の山田宗樹をこれから自分が追っかけるかは
分からないけれど、中谷美紀と中島哲也の作品はたぶん追うだろう。

カテゴリを「DVD・映画」にしようか「読書」にしようか迷ったけど
中谷美紀に敬意を込めて「DVD・映画」に。


DVD評・ラーメンズ第16回公演・「TEXT」--彼らの高み。

すごい。すごい。どこまで高みに向かうのか。ラーメンズは。


友人の家で飲んだくれた翌日、僕は録画されたラーメンズの
第16回公演・「TEXT」を一緒に見た。
爆笑。その完成度への感嘆交じりの嘆息。
何故か、「ズルいっ。」って思ってしまった。
残念ながらまだDVD化はされていない。
遠からずされるだろう。多分。
今のところ最新版のDVDは、第15回公演・「アリス」。

ラーメンズ 第15回公演 「アリス」
ラーメンズ 第15回公演 「アリス」


今、ラーメンズの紹介は必要だろうか?
念のため、簡単に。
ラーメンズは小林賢太郎と片桐仁からなる、「お笑い」コンビ。
1999年、NHK「爆笑オンエアバトル」に出演。
美大出身というユニークな経歴と、なによりもその独自すぎる路線で
一躍、知る人ぞ知る地位を獲得。
近年では、舞台公演を中心に活動する。
そのチケットはあっという間に、即完売らしい。
個人的にも一度は行ってみたい。でも多分無理だろう。
大きいTUTAYAにでも行けば、彼らの作品に会える。
最近ではアップルコンピュータのCMに、二人そろって出演していた。
(良くも悪くも実にアップルらしい起用だ。)
僕が知ったのは椎名林檎と小雪主演の短編キネマ、
「百色眼鏡」に出演して、気になったのがきっかけだと思う。

ラーメンズを便宜的に、「お笑い」コンビと僕は書いた。
しかし彼らは、お笑いにしてお笑いのみにあらず。
演劇にしてそれのみにもあらず。
コント?アート?そのボーダーすら見極めるのも困難だ。
目指す地平も、作り上げる世界も通俗的な意味での「お笑い」ではない。
僕の狭い体験では「お笑い」が世界観を構築するなんて、
ダウンタウンのコント・「トカゲのおっさん」以来。

勿論、おバカエンジン全開の爆笑系のコントもある。
名作コント「ラーメンズの日本語学校」シリーズなどがそうだ。

日本語をネイティブとしない外国人教師と生徒が、
斜め上の日本観を炸裂させる、抱腹絶倒系コント。
フランス人バージョン。
イタリア人バージョン。
アメリカ人バージョン。

例:「コレハ山手線デスカ?」「ハイ埼京線デス。」

どれも、おバカエンジンは出力最大。
余談だが、ラーメンズは手持ちの珠玉ネタやその構成の、
セルフ・ヴァージョンアップが本当に上手だ。
「日本語学校」系列で、明らかに「違法なことをしている」
熱帯アジア系二人に扮するコントが初期にある。

「ソノ(?)百枚ノ一万円札ノコピーハ、(以下略)」
「ソノ"植物"ハ、勝手ニ生エテキマシター。」
「コノ写真ハ全然似テマセンガ、私ノパスポートデース。」
「本当デスー。」
「ソンナ白イ粉、初メテ見マシター。」
「・・・多分、小麦粉カ何カダー。」

・・・NHK「爆笑オンエアバトル」で放映されたのだから
案外公共放送も、度量が深いのかもしれない。
ちなみにその影響を受けたと思われるTシャツを
以前、下北沢で見た。



さすがに着るのは勇気がいるので、買いはしなかったが。
2006.04.08のエントリ、「下北沢兄妹ライダー」より。

少し長くなるがウイキペディアの「ラーメンズ」から、パッケージ化されていると思しきものを挙げてみる。
ご参考までに。
彼らの特徴のいくつかに、どんどん日本語を駆使し、
語感とロジックによって、最終的にトンデモない方向へと
離陸してしまう点と、
設定の奇抜&シュールさがある。
それも含めて、勝手ながら
覚えてる限りでコント内容を分類してみた。


●第5回公演「home」 (2000年1月28日〜1月30日)

 無用途人間
 読書対決 (★日本語離陸度:高)
 映画好きのふたり
 縄跳び部 (★おバカ度:高 ★設定の奇抜さ度:高)
 ファン
 百万円
 漫画家と担当 (★設定の奇抜さ度:高)
 無類人間


●第6回公演「FLAT」 (2000年5月2日〜5月14日)
 初男
 埋蔵金
 海豹
 アレグレット
 ドーデスという男
 新橋駅をご利用の皆さん
 お引っ越し
 棒
 透明人間
 プーチンとマーチン(★おバカ度:高 ★設定の奇抜さ度:高 ★日本語離陸度:高)


●第7回公演「news」 (2000年8月2日〜9月2日)
 私の言葉が見えますか (★設定の奇抜さ度:高)
 読書対決news篇 (★おバカ度:高 ★日本語離陸度:高)
 バッハ (★おバカ度:高)
 雪男
 私の言葉が見えますか(弱気) (★設定の奇抜さ度:高)
 王様 (★おバカ度:高 ★設定の奇抜さ度:高)
 big news
 英語の恋
 私の言葉が見えますか(完結) (★設定の奇抜さ度:高)


●第8回公演「椿」 (2001年1月29日〜2月16日)
 時間電話
 心理テスト
 ドラマチックカウント
 インタビュー
 心の中の男
 高橋
 斜めの日
 日本語学校アメリカン (★おバカ度:高高高! ★日本語離陸度:高)
 悪魔が来たりてなんかいう


●「第9回公演「鯨」 (2001年6月1日〜7月8日)
 ことわざ仙人 (★設定の奇抜さ度:高 ★日本語離陸度:高)
 超能力
 バースデー
 壷バカ
 絵かき歌
 count
 アカミー賞 (★おバカ度:高)
 器用で不器用な男と不器用で器用な男の話
 
 
●特別公演「零の箱式」 (2001年8月27日〜9月12日)
 現代片桐概論 (★おバカ度:高 ★設定の奇抜さ度:高)
 文庫本
 タカシと父さん (★おバカ度:高 ★設定の奇抜さ度:高)
 釣りの朝 (★日本語離陸度:高)
 かわいそうなピンクの子犬コロチンの物語(★おバカ度:高)
 片桐教習所 (★おバカ度:高 ★設定の奇抜さ度:高 ★日本語離陸度:高)
 日本語学校フランス編(★おバカ度:高 ★日本語離陸度:高)
 小さな会社

●第10回公演「雀」 (2001年12月28日〜2002年1月27日)
 お時間様
 音遊
 プレオープン
 許して下さい
 人類創世
 ネイノーさん (★おバカ度:高)
 男女の気持ち (★おバカ度:高 注:小林賢太郎のキムタクの物真似は必見。)
 雀
 

●第11回公演「CHERRY BLOSSOM FRONT345」 (2002年3月29日〜5月12日)
 本人不在
 エアメールの嘘
 レストランそれぞれ
 怪傑ギリジン (★おバカ度:高 ★設定の奇抜さ度:高)
 小説家らしき存在
 マーチンとプーチン2 (★おバカ度:高 ★日本語離陸度:高)
 蒲田の行進曲


●第12回公演「ATOM」 (2002年12月25日〜2003年1月12日)
 上下関係
 新噺
 アトム
 路上のギリジン (★おバカ度:高 ★日本語離陸度:高)
 採集
 アトムより

●第13回公演「CLASSIC」 (2003年3月12日〜4月6日)
 ベルボーイのホテル旅館化計画 (★おバカ度:高 ★日本語離陸度:高)
 マリコマリオ
 受験
 ダメ人間
 ギリジンツーリスト(★おバカ度:高 ★設定の奇抜さ度:高 ★日本語離陸度:高)
 バニーボーイ (★おバカ度:高 ★設定の奇抜さ度:高 ★日本語離陸度:高)
 1313
 帝王閣ホテル応援歌(★おバカ度:高)

●第14回公演「STUDY」 (2003年12月26日〜2004年2月26日)
 study (★設定の奇抜さ度:高 ★日本語離陸度:高)
 ホコサキ
 QA
 科学の子 (★設定の奇抜さ度:高 ★日本語離陸度:高)
 地球の歩き方
 いろいろマン (★おバカ度:高 ★設定の奇抜さ度:高 ★日本語離陸度:高)
 金部
 

●第15回公演「アリス」 (2005年1月18日〜4月24日)
 モーフィング
 後藤を待ちながら (★設定の奇抜さ度:高)
 風と桶に関する幾つかの考察 ( ★設定の奇抜さ度:高 ★日本語離陸度:高)
 バニー部 (★おバカ度:高 ★設定の奇抜さ度:高 ★日本語離陸度:高)
 甲殻類のワルツ (★おバカ度:高 ★設定の奇抜さ度:高)
 イモムシ (★おバカ度:高 ★設定の奇抜さ度:高)
 不思議の国のニポン(★おバカ度:高 ★設定の奇抜さ度:高 ★日本語離陸度:高)

百聞は一見にしかず。
Youtubeから、サンプルを。


★「ラーメンズ 日本語 アメリカン 」




★ラーメンズ 「ネイノーさん」




★ラーメンズ バニーボーイ



*あえて、おバカ度が高いのを中心にチョイスしました。

そう。マンネリとは未だ無縁。
知的で極上なエンターテイメント。
映画で例えると、一時期(「ブロードウェイと銃弾」な等。)の
ウディ・アレンか?いや、適切な例えとは言えないかも知れない。
そして、自称オサレなスノッブのオモチャに
成り下がるほど、閉じてもいない。


映画評「人のセックスを笑うな」


評価:
---
Happinet(SB)(D)
¥ 4,242
(2008-07-25)

挑発的なタイトルで以前から気にはなっていたがいい意味で裏切られた。


2008年公開。永作博美・松山ケンイチ主演。
そういや、松山ケンイチの出る映画(というか作品)に触れるのは初めてだ。
『NANA』『男たちの大和/YAMATO』『デスノート』シリーズなど結構活躍してるのだなあ。


ストーリー

季節は冬。地方の美術学校に通う生徒であるみるめ(松山ケンイチ)、
えんちゃん(蒼井優)そして友人の堂本(忍成修吾)。
三人が軽トラックで早朝走っていると、裸足の女に車道で出会う。
終電を乗り過ごし靴ずれで、靴を捨ててしまったというその女を荷台に乗せ、
途中まで送ってあげる三人。
数日後、喫煙所でみるめはその女と偶然の再会を果たす。
彼女の名前は、ユリ(永作博美)。リトグラフの非常勤講師だった。
みるめはユリから絵のモデルを頼まれ、彼女の部屋に行くが
言われるがままに服を脱いで、関係を持ってしまう。
甘い甘い、睦言。
付き合い始めの二人のいくら貪っても飽きないキスとか、
お馬鹿なのどかなやり取りとか。
二人の関係を堂本を介して聞いたえんちゃんは、みるめへの淡い恋心ゆえに苦しむ。
そしてひょんなことから、みるめはユリに夫がいることを当人から知り
ショックを受ける。
19歳のみるめと39歳のユリ。
この恋はどうなってしまうのだろう。奔放で無邪気なユリは
「みるめくんとは遊びですか」と問い詰めるえんちゃんに言う。

「だって(みるめちゃんに)触ってみたかったんだもん」

みるめを心配するえんちゃん。
友人の堂本が彼女のことを心配しているのに気づくには
今はあまりに余裕がない。
そして恋は淡々と終わりと始まりを迎える。


ダッフルコートが似合う、人恋しくなる季節感。
冬の田舎町の普通の空気を、すごく清涼にカメラが捉える。
土手をみるめとユリが自転車を二人乗りするシーンも本当に微笑ましい。
タイトルのような過剰な見せ場も、盛り上がりもない、
情事を済ました後の恋人たちが戯れるクスクスした悪ふざけや
気を許した空気がとても自然で、可愛らしい。
本当に日常にフィットした切ない恋愛が
妙に胸に刺さる。
人の形だけそれに相応しい恋愛の模様があって
良いも悪いもないんだろうなあ。
しかし、ユリ(永作博美)は本当に小悪魔的だ。
自分がしたいことに忠実。
好きになっちゃうと苦労するだろうな。

サウンドトラックもいい。HAKASE-SUNが担当。元・フィッシュマンズだ。
フィッシュマンズの素晴らしさは以前にも書いたのでここでは繰り返さない。
フィッシュマンズの名曲「My Life」をMariMariが歌う。
挿入歌は、TICAの武田カオリが歌う「ANGEL」。
素晴らしく甘いポップス。
映画ではユリが早朝帰宅して服を脱いで、リビングでタバコをくゆらす
シーンでラジオから流れる。けだるさが曲の甘さとマッチしていて印象的なシーンだ。


「会えなければそれで終わるなんてそんなものじゃないだろう」
(映画終幕より)



映画評・「百万円と苦虫女」

評価:
---
ポニーキャニオン
¥ 3,454
(2009-01-30)

ただただ蒼井優の透き通るような美しさが目を奪う。


はっと息をのむような瞬間が何度もあった。
蒼井優がブルーリボン賞・主演女優賞を手にした映画、
「フラガール」で見せたひたむきで表情豊かな演技とは、
別の顔を見せた一作。
 
 
(ストーリー)
佐藤鈴子(蒼井優)は、思いがけない出来事で刑事告訴を受け
前科持ちとなってしまう。
実家は居心地が悪くなり、地元でも心ない噂は彼女を滅入らせる。
ついに彼女は実家を出る。

「働いて百万円貯めたら、また別の私のことを
 全く知らない土地で生活しよう」

そして彼女は各地を転々としていく。


bus


「百万円を貯めてはいろんな街を転々としてるんです。」

「自分探し・・みたいなことですか?」

「いや、むしろ探したくないんです。いやでも自分はここにいますから。」

 (後述の大学生との会話より)




主演の蒼井優によるロードムービーともいうべき、本作。
誰とも深く接点を持ちたくない鈴子は、どの土地、どの職場でも
淡々と生きている。
その孤独だが穏やかで静かな生活。
 
 
washing
 
 
しかし彼女ははからずも、ある職場で先輩の大学生に恋に落ちる。
自分の生活を変えてしまう事に恐れを抱く彼女。
 
 
コインランドリ
 
 
そして恋は最初こそ、不器用だが微笑ましく始まったが、ある結末を迎える。
 
 
crying
 
 
彼女は気がつく。
 
 「家族でも恋人でも、長く一緒にいられるこつって、
 一番大事なことは言わないことじゃないかなって思っていました。
 おとなしく、適当に愛想笑いをしていたら、
 トラブルなく過ごせると思っていました。
 いつのまにか何も言えない関係になってしまうのは不幸なことです。
 人は出会ったら必ず別れるのだと思います。
 その別れが怖いから、姉ちゃんは無理をしていました。
 でも出会うために別れるのだと、今、気付きました。」
 
standing
 
 
そして彼女は、また次の街へ行く。
今度こそ、いろんな人から逃げず、ちゃんと自分の足で立つために。
 
 
up


ラストの他の街へ旅立とうとする彼女を追う恋人が、ほんの偶然で
会えなかったシーン。
鈴子は、ふと後ろを振り向く。

「来るわけないか」

ほんの少し微笑んだかのように見える鈴子。
今までの自分をふっ切ったように歩き出す。
甘えのない不思議な清涼感のエンディングだった。 
 
淡い色彩と、抑制された蒼井優の自然な演技。
そしてなによりも、その細く、華奢で、透明感のある彼女の存在自体が、
観る者をひきつける。



補記:ピエール瀧が田舎の青年役で好演。
   しかし、いい腹になったなー。(笑)

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映画評・「少年メリケンサック」〜おかしくてやがて哀しきパンクかな〜

宮藤官九郎監督・脚本。


やっぱり期待を裏切らない。クドカン節炸裂。
彼の率いるバンド、グループ魂の曲・「ロックの先輩」を
彷彿とさせる、妙にショボくて、ひたむきな笑いが随所にあった。
なんだろう。このちょっと切ない感じは。


〜ストーリー〜


mixi


レコード会社の新人発掘担当の契約社員、かんな(宮崎あおい)は、
偶然ネット上で、パンクバンド「少年メリケンサック」の動画を発見する。





ユースケとあおい


レコード会社社長(ユースケ・サンタマリア)は、「少年メリケンサック」に一目惚れ。
かくしてあおいはデビューのため、「少年メリケンサック」のメンバーに
コンタクトを取る。


おっさん浩市


しかしあのパンクロックバンドの映像は、なんと25年前のものだったのだ。
月日は残酷なもので、バンドの中心メンバー・ベース担当の秋夫(佐藤浩市)は
ただの飲んだくれのおっさんと化していた。


セッション1


なんとか他のメンバーを集め、スタジオでセッションするが、
ドラムのヤング(三宅弘城)は痔。
ギターの春夫(木村祐一)は、兄である秋夫と険悪なムード。


セッション2


極めつけのヴォーカル・ジミー(田口トモロヲ)は、
車椅子にろれつの回らない口調で登場。
歌う以前の問題だ。

荷台


かんなが社長にバンドの現状を話し出すきっかけを逃しているうちに
あれよあれよと、「少年メリケンサック」はネット上で大反響。
全国ライブツアーが次々と決まっていく。このまま出たら詐欺同様。
後には引けず、ライブツアーへ赴く一行。


 「25年前よりいいライブやりゃいいんだろ?」

 「嘘ってのはギリギリまで突き通さなきゃ駄目なんだよ。
 ネエちゃん。その嘘がばれる瞬間に俺らが最高のライブやれば
 その嘘は嘘じゃなくなる。奇跡だ。違うか?」


車内


そしてついにライブは始まる。


LIVE


何を歌ってるのかさっぱり分からないヴォーカル。
へったくそな演奏。
いくらパンクだからって限度ってものがある。


LIVEその2


もちろん、奇跡などという都合のいいものは
そんなに急に起きるはずもなく、ライブは散々の出来となる。
しかし全国ツアーの契約は存在する。
違約金を考えたら、途中でやめるわけにはいかない。


車内その2


再び続く珍道中。
カンナは嫌々、一行に付き合う。

あおい@バス


下品で自分勝手でオヤジで。
傍若無人などうしようもないメンバー達。
たまらず逃げ出すカンナ。
だが心の中で何かが引っかかる。
彼らの臭気プンプンで、カッコ悪いけど、ひたむきな何かに。


路上


しかし苦行のように恥をさらしていく
ツアーの過程で「パンク」本来の何かに火がつき、
ライブハウスを突然熱狂させる。
バンドの魔法が、遅まきながら降って来たのだ。


LIVEその3



「やればできるじゃん。」(カンナ)


LIVEその4


あおい中指


前途が開けてきたと思ったのも束の間、
そしてバンドは最大級の危機を迎える・・・・。


宮崎あおいの初コメディ映画。
喜怒哀楽丸出しで引っ張りまわされているのがとても可愛い。


あおい


かつての「少年メリケンサック」の仕掛け人という、
明らかに堅気じゃない男をピエール瀧が好演。


瀧


ラストをギャグと取るか、それとも「祭り」の終わりと取るかは、
観る人によって別れると思う。
本当に唐突な終わり。
観ようによっては、かなり切ない。


パンクか。
僕が音楽を聴き始めた頃には、
とっくにそれはファッションの一つと化していた。
新宿や下北沢の特定の時間帯や場所で、
レザーに鋲打ち、髪の毛をあらぬ色に
染めた怖いお兄さんを横目で
ちらりと目にすることができたぐらいだ。
セックスピストルズですら、
あらゆる種類の音楽を嫌でも詰め込まれた
90年代後半のちょっとひねくれた耳にとっては、
少しノイジーなロックに過ぎなかったのを覚えている。
初期衝動。メッセージ。ライフスタイルそのもの。反逆。反体制。
あれだけ計算とは縁遠いジャンルでありながら
そんなお約束な言葉で、がんじがらめになっているジャンルに思えた。
まるで音楽的成長それ自身が罪悪かのように、
頑なにパンクは閉鎖的な“形式”をなぞり続けた。
まるでそうすることによって、初期衝動や思いを
真空パックできると信じているかのように。
初期衝動や思いを、それが発生した時の新鮮さを
損なわないまま、何かを続けるということは本当に難しい。
それを至高のものとしたパンクですら、そうだったのだ。
(僕がドップリとハマっていたテクノだって、そうかも知れない)
「少年メリケンサック」のメンバーは、忘れていた初期衝動を
きっとほんのつかの間だが、再びそれを手にした。
セックスピストルズのジョン・ライドンは、
その後、PILというバンドで新しい領域に漕ぎ出している。
そのダブまで消化した前衛的なファーストアルバムは、
「パンク」という“形式”から鮮やかに抜け出していた。
それは裏切りではない。
熱情はいつか必ず醒める。
どんなジャンルでも。
多分、音楽に限らずどんなことでも。
熱情を失って、過去の余熱をはぐれた犬のように
空しく追い続けることも、それ以外の価値観を認めずに
刹那と心中することも(魅力的に思えるときもあるけれど)、
どうやら正しくも美しくもないことらしいことは
判ってきたような気がする。
多分、それが「大人になる」ということらしい。
初期衝動を、熱情を、思いを損なわれても、
破滅と惰性から1mmでも遠い方向へ歩き続けること。
つい数時間前に、また新しい年を迎えた。
それは今年の自分にできるだろうか。
そんなことを考えた。


という訳で、2010年。
年をまたいで、記事を書いたのは初めてかもしれない。
明けましておめでとうございます。
今年も皆様、当サイトと作者(3amop)を宜しくお願いいたします。


















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映画評・「恋する惑星」〜色あせないスタイリッシュさと微笑ましい希望〜

評価:
ウォン・カーウァイ,クリストファー・ドイル,ジェフ・ラウ
ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
¥ 12,800
(2006-06-23)

映像がスタイリッシュな映画は、往々にして月日がたつと色あせる。


1994年の香港映画、『恋する惑星』(原題:重慶森林,Chungking Express)を
久々に観る機会があった。
ウォン・カーウァイ監督作品。
はじめて観たのは大学時代だった。
その時はもう心をわしづかみにされたものだった。
いちいちカッコいい挿入曲。
斬新で目を奪うカメラワーク。
多分、90年代後半の自称/他称オサレさんにとっては
エポックメイキングな作品のはずだ。
非・オサレさんに無理やり鑑賞させれば、
「気取ってやがる!」
「フェイ・ウオン?ただのストーカーじゃねーか!(後述)」
「ウォン・カーウァイ?発音しにくいんじゃ!!」
などと、あらぬ批判を受けたものだ。
そんな学友の評価にもめげず、一人でその素晴らしさを
頑固に主張していたのも、昔の話だ。
ウォン・カーウァイの名前は久しく聞かなくなり、僕も少し歳を取った。
今さら、『恋する惑星』を観なおすなんて、
ノスタルジー以外の何者でもないかもしれない。
正直、記憶の追体験以外のことを期待せずに、淡々と観よう。
そんなことを観る前に勝手に決めていた。


<ストーリー>
 失恋した刑事223号(金城武)は、
 逃亡中のドラッグ・ディーラーの女(ブリジット・リン)と出会う。
 恋人とすれ違いが続く刑事633号(トニー・レオン)は、
 ハンバーガーショップ〈ミッドナイト・エクスプレス〉の
 店員フェイ(フェイ・ウォン)と出会う。
 ハンバーガーショップとその二組の男女を軸に、
 闇と光の香港をスタイリッシュに描く。


OP


冒頭の青を基調とした香港の喧騒。

clock1


刑事223号(金城武)は雑踏の中で、容疑者を追う。
 
 
 雑踏ですれ違う
 見知らぬ人々の中に−
 将来の恋人がいるかもしれない。
 僕は刑事のモウ
 認識番号は223
 

clock2

 その時
 彼女との距離は0.1ミリ
 57時間後
 僕は彼女に恋をした
 
 
映画冒頭からわずかに2分のセリフ。たった2分。
学生時代の頃のように、僕はストーリーに釘付けになった。


ブリジット・リン


刑事のモウとすれ違ったのは、ドラッグ・ディーラーの女(ブリジット・リン)。
香港の闇を泳ぐタフで寂しい女性。
危険な仕事を一人でこなし、また闇に沈む。
彼女がよく顔をバーでかかるレゲエ・「Dennis Brown」”Things In Life”が、
妙に都会のうつろいやすさにマッチして、耳に馴染む。


「Dennis Brown」”Things In Life”




一方、刑事223号(金城武)はいきつけの
ハンバーガーショップ『ミッドナイト・エクスプレス』で、
付き合いっていた彼女と連絡が取れず、
途方にくれ、その甘い容貌をすねさせていた。


看板


金城の失恋


金城拗ね顔


刑事のモウは、未練を捨て切れずに伝言サービスに電話する。



 伝言は?
 パスワードを
 ”一万年愛す” 電話は?
 ありません






一人の部屋で愛犬を相手に、刑事223号(金城武)は愚痴る。
 
 
 犬は最良の友なのに―
 なぜ僕の悲しみが分からないのか
 
 
その間にも、ドラッグ・ディーラーの女(ブリジット・リン)は発砲し、
大勢の男に追われ、明日をも知れぬ危険な日々を過ごしていた。

刑事223号(金城武)は街のバーで悲しみを忘れるため
一人で飲み過ぎる。


金城飲みすぎ
 
 
 僕は自分に言いきかせた
 今度入ってきた女性を好きになろう。

 
 
そして次に入ってきた客とは、ドラッグ・ディーラーの女(ブリジット・リン)だった。


ブリジッド登場


二人で


口説く刑事223号。意に介さないクールな女、
ドラッグ・ディーラーの女(ブリジット・リン)。
ぎこちなく、微笑ましい口説き文句。
都会の偶然。一瞬交差する男と女。
酔いつぶれたブリジッドをホテルに連れ込むが、何もしない金城。
ただ靴を脱がせ、ネクタイで拭き、去っていった。

まだ空が青い早朝。
ブリジッドをホテルにに置いて、涙になるような「余計な水分」を
ランニングで汗にしようと走る。
別れた彼女との残された唯一の接点である、ポケットベルを
金網にひっかけて帰ろうとする金城。


ポケットベル


突然、ポケットベルが鳴る。踵を会して走り寄る金城。

 伝言は?
 パスワードを
 ”一万年愛す” 電話は?
 702号室の女性が"おめでとう"と
 
 
 1994年の誕生日に−
 あの女が"おめでとう"と
 彼女は忘れ得ぬ人となった
 この"記憶の缶詰"に
 期限がないといい
 あっても一万年くらいならいいが・・
 
 
「缶詰」に関する切なくてチャーミングなエピソーグは
是非本編を。

そしてその後、ブリジット・リンは
「Dennis Brown」の”Things In Life”が流れるバーで、
男を射殺する。裏切ったのか。裏切られたのか。


ブリジッド発砲


そして、映画はもう一組の男女の軸に基点を移す。
刑事223号(金城武)はいきつけのハンバーガーショップ
『ミッドナイト・エクスプレス』で
新入りの女の子、フェイと出会う。


 その時2人の距離は0.1ミリ
 6時間後−
 彼女は別の男に恋をした



刑事633号とフェイ



そしてここで挿入される曲。名曲だ。

The Mamas & The Papas: California Dreamin'




ハンバーガーショップ『ミッドナイト・エクスプレス』を、
行きつけにする刑事633号(トニー・レオン)は
あまりにフェイが、店のラジカセで大音量でこの曲をかけるので
思わずフェイに尋ねる。


 うるさい音楽が好きなの?

 この方がいいの
 色々考えなくて済むでしょ?



顔を見合わせて


刑事633号(トニー・レオン)は、スチュワーデスと付き合っている。
しかし最近、その仲は微妙に。
 
 
 彼女とずっと−
 飛んでいられると思ったが−
 飛行機は進路を換えた



水槽と飛行機


すでに、刑事633号(トニー・レオン)に好意を抱いていたフェイは、
店主と彼の会話に耳をそばだて、一喜一憂する。
断っておくが、この映画でのフェイウォンの可憐さは特別な空気が
出ている。
そしてフェイは、彼の付き合っていたスチュアーデスからの別離の手紙を
刑事633号(トニー・レオン)に渡しそびれる。
流れる時間。
この描写が、二人の微妙な心理だとか
都会の孤独さを引き立てて好きだ。


1


2


3


4


そしてフェイは、その恋心を抑えきれずに、刑事633号(トニー・レオン)の私室に
たびたび不法侵入。傷心の男の心をなんとか慰めようと
色々ないたずらや勝手な模様替えを仕掛ける。
(*注:「単なるストーカーだが、フェイ・ウォンなら許すっ」と言う意見が大勢を占めていた。)
そしてこの挿入歌。ヤラレてしまう。


恋する惑星 Faye Wong フェイ・ウォン 夢中人




しかし、そんなこと、いつまでも続くはずも無い。
帰宅した刑事633号(トニー・レオン)は、
フェイ・ウォンと自宅でばったり出くわす。
驚いたショックで足がつったと言い張るフェイ・ウォンは、
刑事633号(トニー・レオン)の部屋で、足のマッサージをしてもらう。
(*注:「フェイ・ウォンなら許すっ」と言う意見が大勢ry)
そして二人はいつの間にかまどろむ。
とても安息し切った表情で。

フェイと二人で


そして、ついに刑事633号(トニー・レオン)はフェイとバー『カリフォルニア』で
デートする約束を取り付けた。
彼が去った店内で大はしゃぎするフェイ。
雨。しかし、バー『カリフォルニア』に彼女は来なかった。
ハンバーガーショップ『ミッドナイト・エクスプレス』の店主が、
彼女の言付けを持って、彼を訪れる。
その手紙をなかなか読めない刑事633号(トニー・レオン)。
一度、雨のゴミ箱に捨てるが、結局拾う。
必死で乾かして読もうとする。


 搭乗券のようだった
 日付は一年後
 行き先は読めなかった
 
 
 お店に行ったわ
 7時15分に着いたの
 あの晩は大雨
 窓の外に雨のカリフォルニアが
 本当のカリフォルニアに
 行きたくなって
 そして一年が経った
 今夜も同じ大雨
 でも心の中には彼のことだけが
 手紙を読んだかな



再会


そして一年後。
The Mamas & The Papasの 「California Dreamin'」が一年のときを経て流れ出す。
二人の突然の再会。
元・ハンバーガーショップ『ミッドナイト・エクスプレス』で、偶然フェイと再会した
元・刑事633号(トニー・レオン)は呆然とする。
そしてフェイに聞く。

 
 カリフォルニアは楽しかった?
 そうね
 特に楽しくなかったわ
(中略)
 聞きたいことがある
 こんな"搭乗券"で乗れるか?



ticket


 日付は今日
 行き先が読めない
 知ってるかい?
 さあね
 新しいのあげるわ
 どこ行きたい?
 君の行きたい所へ




都会に住む孤独だとか、
出会いの奇跡を信じている夢見がちな気持ちとかが
ハッピーエンドの存在を何処かで疑わない希望だとかが、
本当にキュートに微笑ましく描かれている。
俳優が着ている洋服だとか、質感だとか、色あせる要素は映画では多い。
特に昔、「スタイリッシュ」とされた映画ならなおさらだ。
この映画だって例外ではないかもしれない。
しかし、やはりこの映画はカメラワークも美しく、音楽の使い方も素敵だった。
そしてなによりも胸が温かくなる。
その大事なところだけは、2010年でも
きちんと残っている。
個人的に惹かれたのは、失恋した後の男の独り言だ。
傷心の心を再確認するように、一人、部屋の中で、いちいち
ユーモラスで少し悲しいことを独白する。
胸に刺さる描写だった。




*余談だが、白のランニングシャツとブリーフでも
 トニー・レオンは精悍なイケメン。
 ●叉軍司じゃないんだから。



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